数年前からの計画通り、マンションのエレベーターのリニューアル工事がありました。
築25年。
10階建てのマンション。
業者によるエレベーター点検は毎月行われています。
これまでと同じメーカーの交換ということで、
工事は案外短め?の12日間でした。
我が家はマンション2階の角部屋です。
エントランスから入って、エレベーター近くの階段を上ってすぐの場所です。
エレベーターの隣の隣。
マンションにはエレベーターは1機だけで、階段は2カ所あります。
改めて、我が家って暮らしやすい最高の場所だなぁ。
事前に開催されたエレベーター工事の説明会では
上階にお住まいの方や高齢の方が様々な質問をされていました。
工事中、階段の踊り場に休憩用の椅子を設置してほしい
工事の期間はホテルで過ごす
2週間家から出ずにじっとしている
など。
私たちは家族みんなそもそもエレベーターを利用しないことの方が多いです。
エレベーターを待つよりも、会談で上がった方が早いと思うからです。
利用するのは、
荷物が重い時、
疲れている時、
エレベーターがくるまでの待ち時間が短そうな時などでしょうか。
リニューアル後はボタンが『非接触型』になると説明がありました。
どんな機械でも、タッチパネルになると視覚障害者には使えないのですが、
これまで通り押すこともできる
点字表示もある
音声アナウンスもある
など確認したので、楽しみにしていました。
約2週間の工事が終わり、早速次女と乗ってみると・・・
私が指先で階数表示の点字を探している間に
ピッピッピッと次々にボタンが反応します。
非接触型だから、ボタンに指が近づくだけで押されたことになるようです。
何ボタンが反応したのか、私には全くわかりません。
これは困りました。
エレベーターが新しくなったら、視覚障害者の私には利用できなくなった。
先ほど書いたように、私たちは2階に住んでいますので、
日常的には階段を利用すればいいとも言えます。
しかし、
お米を届けてもらう日は、全盲の私一人でキャリーに乗せた30キロのお米を引いてエレベーターを利用します。
将来、高齢になったり足が悪くなったりしたら
日常的にエレベーターを利用したくなる時もくると思います。
今後は階段で上がるしかないか
仕方ないね
と簡単にあきらめることはできません。
リニューアルして、使えないエレベーターになってしまったのかと落胆していました。
そんな話を友人Eさんが遊びに来てくれた時にすると、
エレベーター業者に問い合わせてみようと言ってくれました。
Eさんはいつも私が考えもつかない解答をくれます。
私はメーカーに問い合わせるなんて思いつきませんでした。
マンションの管理会社に伝えてみるしかないと思っていて、
そして少数派の視覚障害者、しかも2階に住んでいるので
クレームになるのかな、迷惑がられるかなと後ろ向きでした。
エレベーターの中に書いてある会社名や型番をメモして、
スピーカーで一緒に電話をかけてくれました。
そして、
非接触機能をオフにすることは可能
到着の階数の音声アナウンス機能は有料オプション
ということがわかりました。
ゴールデンウィーク期間で営業担当がいないとのことで、わかったのはそれくらいでした。
それから、
会社名や非接触型エレベーターのこと、
全国でこのエレベーターでこまっている視覚障害者がいるんじゃないか、
その人たちが何か解決法を知ってたりしないか
ネットで検索してみました。
非接触型でも健常者にも視覚障害者にも使える配慮がされているようなことが書いてあり、
よく意味がわからず、見つけた解説のページを救世主Eさんに送信すると、
結論、
ボタンがある壁に
指を浮かせず手のひらをベターッとくっつけたままボタンに近づくと
非接触センサーは反応しない
という裏技があることがわかりました。
しかし指を浮かせず壁をベターッと触るのでは、指先で点字を読むことができません。
我が家はたまたま2階なので、
一番下の開・閉ボタンの『閉める』ボタンの上が『2』のボタンです。
この裏技で、利用する1階と2階のボタンはなんとか押せそうです。
点字を確認してボタンを押しているのではありません。
とにかく非接触センサーが反応しないように気を付けて、
右の下から2番目のボタンをどうにか押している状況です。
我が家の利用が1階と2階だからこれで乗り切れますが、
もっと上の階だったり、タワーマンションだったりしたら
手のひらベターッと作戦では無理があるような気がします。
ボタンに1.5センチの範囲に指が近づいたら反応するという優秀なセンサーと、
それらのボタンの間の隙間に表記されている点字。
どうがんばっても
視覚障害者が点字を探したり読んでいる間にセンサーが反応します。
目が見える人が
点字表記に向かって真っすぐ指を近づけた場合だけが
センサーが反応せず1.5センチの外で点字に指が当たるという感じでしょうか。
目が見えない視覚障害者は
ボタンも点字も触って探して確認するという行動を
ご理解いただけていない設計だと感じました。
まあ、だから
手のひらベターッと作戦で
乗り切ってくださいということなのかな。
エレベーターのボタンを押すために、
一旦中腰になって
手のひらをぺったり壁につけて
慎重に下から撫で揚げる格好は
とても不自然で、誰にも見られたくないですね。
リニューアルして、
少しだけ暮らしづらいマンションになってしまいました。